佐野楓 長谷川潤
ふと、ウトロ漁港(北海道斜里町)の観光船乗り場を見ると、1隻の船が停泊していた。
「KAZUⅠ(カズワン)」だった。
4月23日午前9時前。漁港に面する漁協組合事務所にいた時だ。
「『ああ、観光船が出るのか』と思った。これからしける予報だし、今日は半島の途中で戻ってくるんだろうと思っていた」
部屋の窓からは乗り場がよく見える。じっと眺めていると、若い男女2人が岸から船内をのぞき込んでいた。2人は船から出てきた船長と甲板員とみられる男性と話した後、船に乗りこんだ。
そこまで見届けたところで窓辺を離れた。他の乗客はまだいないようだった。男女が船内で何をしているのか気になったが、そのまま部屋を去った。
午前10時に出港したカズワ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル